……触ってええんかな……?さっき言うてたし…いいん…よな?
恐る恐る右手を左胸に伸ばす。指先が触れた瞬間、「…ん…っ」という怜香の甘い声と同時に、どくんっと自分の躯が脈打ったように真幸は感じた。
手のひらに収まるか、収まりきらないか位の怜香の胸。白く柔らかなそれに触れることは、何故か禁忌を犯しているような、畏れ多い行為に感じた。
とくん、とくん…
触覚が、感触だけでなく、胸の奥底の音を拾う。―――レイに生を、そして性を、もたらしているモノ。テレビで聞くようなドクドクして、いかにも血を流すポンプです、というような怖い音ではなくて、もっとなんか―――。
「…落ち着く…」
左胸の手を外し、代わりに耳を当てて目を閉じてみる。こんなにも心音が愛おしいもの、だと感じたことはない。手のひらだけでは満足できなかった。もっと全身で、レイを――。
気づいたら右腕を腰に回していた。
空いた左手で、レイの胸を優しくこね回した。決して強く握りつぶさないように。レイが痛がる姿も声も、俺がそんな風にさせたくなかった。
「あ、…ん……ぅん…いぃ……」
…だからあかんねんて…そんな切なそーな声聞いたら…
………もっと聞きたくなるやんか。