慰めるのは簡単な事だった。夢の続きを想像すれば良いだけだったから。
ただ、自分の欲望を受け止めたのは愛しい人ではなく白いティッシュだっただけの事。
だけど、夢でもいいからアイツの中でイきたかったものだ。
制服に着替えて身支度を整え階段を降りる。
リビングのドアを開けると、そこにはまるで自分の家かという様に涼しい顔で悠々とソファに座る隣家の幼馴染みの姿。
あんなによがっていたクセに…(夢の中でだが)
「おはよ、佑兄。気分はいかが?」
何かを含んだ笑みを浮かべる相手を軽く睨む。
「…サイアク」
なんで俺はこんな奴に惚れたのか。
まさに恋はミステリ…
「佑樹!つっ立ってないでさっさとご飯食べなさい!まったく…少しは彬君を見習ったらどうなの?」
俺の思考を邪魔しないでくれ母上。
俺はその彬を見習うどころかゾッコンラブ(死語)なんだぜ?
だが朝っぱらから雷を食らうのは勘弁して欲しいので、渋々テーブルにつく。
ふとリビングのソファに座る彬に目をやると、テレビのリモコンを弄りながらお茶を啜っていた。
何故人んちにマイ湯呑みがあるんだお前は…。というツッコミはとうの昔に諦めた。
どうせ「俺んちみたいなもんじゃん?」と返されるのがオチである。
しかしそんな姿も愛しいと思ってしまう俺はかなり重症だ。
朝飯を食っている途中で携帯の着信音が響く。
彬の物だ。
口振りからして彼の父親からなのだろう。
彬の母親は彼がまだ幼い時に病気で他界していた。
だから今、彬は父親と二人なのだが、仕事が忙しくて遅くなる時や出張で家を空けるときは、よく俺んちにメシを食いに来たり泊まったりしていた。
この歳になって泊まりに来る事はもう無くなったがメシを食いに来る事はある。
そして今日も彼の父親は出張で留守にしていて、ウチに来ていたのだ。
「おばさん、親父の出張が急遽延びたんだって。夜もこっち来て良い?」
おじさんに感謝、だ。