あることを思いつく。
…でも…できるかな…。私は不安を感じた。でもこんな真幸、見ていたくない。
意を決して、私は真幸の正面に改まって正座をした。こんな時でもマジメに正座してしまうなんて…弓道部員だ、とイヤでも認識せざるを得ない。
真幸のカラダに抱きつく。キツくキツく、これ以上にないくらい抱き締める。早く真幸の元気な顔を見たかった。
耳元で「ゴメンね」と囁く。すると真幸はカラダを強張らせた。
…怯えている…。
顔を見たらそう感じるくらい、眉間に皺が寄り、悲しそうな表情だと思った。
…胸が締め付けられるよ。真幸…。
今度は優しく抱き締める。そして、泣いている子を落ち着かせるように、真幸の背中をさすってあげた。
真幸は私の手にびくっとカラダを一層堅くさせ、でも―――\r
―――どのくらい時間が経っただろうか。真幸の背中を中心に、強張りがほぐれていくように感じた。
もう一度、「…ゴメン…」と呟く。すると今度は小さく真幸は頭(かぶり)を振った。そんな小さな動作も可愛いと思う。…不謹慎だけど。
俯いていた顔を上げた真幸の顔は、まだ悲しそうだった。睫が濡れているように見える…私はそれに気付かない振りをして、真幸がしてくれたように、優しくキスをした。