「ごめん……」
良かれと思ってやったことが、実は迷惑だった、という失敗が多い私は、またやってしまった、と後悔した。しかもこんなところで…バカだ…。
しゅんとしてると、頭に重みが加わるのが分かった。暖かい重み……真幸が頭を撫でてくれる。すごく遠慮がちだったけど、触れた手先から拙さが感じられて、逆にドキッとした。
「レイは悪くないよ…。俺、嬉かってん。…レイに嫌われた思たから……」
久しぶりに真幸の声を聞いた気がする。いつものトーンにはちょっと物足りないが、元気が出てきたのかな?と感じた。
「…ごめんね。私の聞き方がマズかったよね。ホントごめん」
「あ、いや、その…ちゃうで。…俺、何でこんな時に緊張してんねやろって思ったら…なんや情けなくなってきてなぁ…。
レイにこないな姿見られたから、絶対嫌われたわ思てたし。
そしたらキスしてくるやろ?なんや不安になっとったん俺だけか思て正直アホらしくなったわ…」
そう言って、ちょっとふてくされた真幸は、ちょっとかわいい。
私のそんな視線に気付いたのか、真幸は照れたようにぷいっと、明後日の方向を向いた。
…赤いかどうかは逆光で見えなかったけど。