「世の中の男、70%以上の奴は、痴漢願望があるよ」元彼は、痴漢を援護するように言った。
「じゃあ、私は、残りの30%の男を選ぶ」
むきになって言う私を一蹴した。
「残りは、ホモとガキと不感症」
そう言い切った彼。私の身体ばかりを欲しがった。虚しくなって3か月前別れた。
痴漢は許さない。そう決めた。それからは、もう大声出すのも慣れた。泣き寝入りなんかしないもん。私は、さっきみたいな攻防戦を毎朝くりひろげている。
数日後のこと。
「んっ」
また痴漢だった。しかも、奴のは既に勃起している。自分の大きくなったモノで、私のお尻をこすりつけている。
制服着ている私が悪いわけ?
頭にきすぎて、涙が出そうになる。犯人を睨もうと顔をあげる。
ふと、人々の背中越しに「彼」が見えた。英単語本を片手に、音楽を聴きながら、優雅な通学。彼の周りだけ、喧騒がないのはなんでだろ??温度が2、3度低く感じられる。
「?」
彼は本から顔をあげた。私と目が合う。交差する。
「!」
私の背後の影に気付く。それから、また私を見る。
『今日は叫ばないの?』
目できいてくる。笑っている。
叫ぶって言ったって、手は掴めないし。