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記憶?

小松 真友  2006-09-05投稿
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噛みつかれ、赤く腫れた肩をひと触りし、ヨシトに目もくれず、タバコに手を伸ばす。

「ナオさん…本数、多いですよ?」
「うるさい。関係ない。」痛めつけるように、立て続けに3本吸った。

あの時の男の記憶は、いつも鮮明だ。触れられた時の感覚も、幼いながら防衛本能からくるあの液体の垂れた軌跡。生々しく残っている。初めて私に『恥辱』を教えた。警察にも、担任にも、哀れみと好奇の眼差しで見られる事。忘れなさい、と、言う親。

でも、植え付けられたあの記憶だけは、絶対に消えないシコリのように、残り続けている。

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