その後の仕事は、全くと言っていいほど手につかなかった。キモチが高ぶっていた。どうしてかは判らない。だか、まるで片思いの相手をちらりと見たようなキモチだ。
家に帰って、ワインを空けた。今日は、パスタがいい。たっぷりのトマトを絡める。
その時、ケータイがが鳴った。「ナオさん、今から会えますか?」ヨシトからのメールだ。駄目だ、今日は会えない。なぜなら、明日からはあの男に会うために心を使う。ヨシトの居場所なんか、どこにもなくなっていた。
ケータイを無視し、ワインを飲み干した。