私が思い切って「他に好きな人ができたからもう拓海とは付き合えないの…ごめんね…」と言ったら、彼は泣きそうになりながらも必死で涙をこらえて「そうなんだ…」と言った。それから暫く沈黙が続いたけど、5分くらい経って彼が口を開いた。そして、子犬がすがるような潤んだ瞳で「わかったよ。しかたないよね…でも、俺はさやかじゃないとダメなんだ…」と言って、震える手で私の手を弱々しく握った。私も辛くて泣きそうになりながら「拓海のことは嫌いになった訳じゃないし、勝手な私のわがままだから…全部私が悪いの。本当にごめんね」と言った。