「せんせー、これ分かんな〜い」
「お前なぁ、年上にタメ口使うなよな」
神田深雪、中三。家庭教師は坂井薫、21歳。高校受験を控えた深雪は、週4回、家庭教師に勉強を見てもらっている。
深雪は、背が小さく、童顔で、少し生意気だが、なかなか頭は良い。
一方、薫は、背が高く、整った顔とまではいかなくとも、まぁまぁなルックスをしている。家庭教師は、自活のためのアルバイトである。
「先生、ここの問題が分からないのであります」
「もっとまともな敬語使えよ」
そう言いながら、ベッドから腰を上げ、深雪が勉強している机へ行く薫。テキストをのぞき込み、
「どれ?」
と、耳元で囁く。ゾクゾクッとする深雪。髪の毛で隠れているが、耳が真っ赤になっている。
「どれだ、っつってんだよ」
そう言って深雪の頭を小突く薫。
「いて。あ、アハハ(笑)コレコレ」
テキストを指さす深雪。その指先の問題を見る薫。薫の横顔に、ポ〜っと見とれる深雪。
「…何見てんだよ」
「あ!いや、別にぃ?」
深雪は薫にホレている。