「…ッ、う…っ」
血が滲むほど唇を噛んで、レインは俺をギッと睨んだ。
いつも、周りを見下したような、冷たさを漂わせていた彼の瞳は、
今は薄い水の膜で覆われており、睨んでも全然怖くない。
彼は間違えることなく男なのに、些か顔が綺麗過ぎる。
その名前からわかるように、レインはこの国の人間ではない。
肌は薄い陶器の色、髪は蜂蜜のような金色。…ヨーロッパ系の血を引いているらしい。親の姿は見ていないけど、二つ下の学年に、同じような髪の色をした弟がいるのは知っている。
東洋と西洋が混じり合ったその顔立ちは、ぱっと見たら女の人に見えるくらいに端正だ。
綺麗な顔して、すました態度。
俺は、そんな生意気なハーフを、体育館倉庫に捕まえることに成功した。
服を脱がされ、四肢を奪われ、欲情に満ちた俺の視線をずっと浴びせられていても、彼は負けを認めようとしない。
声ひとつ出さずに、俺を睨む。「殺してやる」と、言いたげに。
俺はすっと手を伸ばし、レインの白い頬を掴んだ。
皮肉に歪んだ唇を、上気した肌に押しつける。
「そんな怖い顔しないでよ…レイン。綺麗なお顔が台無しだぜ?」
レインはぐぐ、と身を捩り、俺の体から離れようとした。
そんなこと許すわけがない。
俺はレインの髪を掴み、そこのマットに引き倒した。