初対面の印象は、「センスのない地味な子」だった。
今時水色のシャツワンピに白いカーディガンを羽織り、白いスニーカーを合わせている。
同期の中では少し浮いた子だった。
ある会社帰りの事だった。仕事をようやく片付け、最終電車に乗る。この時間に乗るのは初めてで、夕方とは全く違う車内の雰囲気に、自然と落ち着きを感じた。同じ車両には、週頭に関わらず酔っ払いが1人、遊び疲れて座席に寝転ぶ20代後半の男が1人。そして私も、この静かな空間の、電車がレールを進むリズムに身を任せかけていた。
2駅程来た時、私は完全に目を覚ませてしまった。目の前の駅のホームに、見たことがある人がいる。あの子だ、やはり服装がひどい。脚の付け根ギリギリの白いミニスカートと、少し透けた白いシャツの中にチューブトップを着ている。 やはり履物は白いスニーカーだ。
私に気付かないのか、こちらを見ずに電車に乗り込む。電車が動き出すと彼女は、突然財布を落としてしまい、大きな音を立て床にお金をばらまいてしまった。「やだぁ〜」と言いながら恥ずかしそうにお金を拾う。四つん這いで、一枚一枚、丁寧に拾う。
「んっ!?」車内の男の視線は彼女の後ろから注がれる。ミニスカートから覗くのは、1本の細く黒いライン。Tバックだった。
お金を全て拾い上げた彼女は座席にやっと座り、シャツのボタンを外し始める。そしてチューブトップをずらす。ゆっくり、ゆっくり下げ、その下には肌色が続く。そして、プルンッと全体が現れる。何をしてるんだ…?と思いながら、チラチラと横目で見てしまう。胸を丸だしにして彼女は目の前の男に携帯で写真を撮られて微笑む。彼女はスカートに手を入れ、下着を脱ぐ。紐のような下着を目の前の男に優しく投げる。そして脚を拡げ、携帯のシャッターの音に酔いしれている。
私も彼女の前に移動し、座る。一瞬彼女は目を見開き私を見たが、直ぐに笑顔に変わった。私も携帯を取り出すと、全身の写真を、また、スカートの中だけを、何枚も撮影した。
その後彼女を見ていた20代の男が彼女が降りた駅で降りる。私は気になり後をつけると、改札を出た瞬間からすごいスピードで走る彼女がいた。男は舌打ちをし、歩き始める。私は最終電車だった事に気付き、タクシーで帰る事になってしまった。