お姉ちゃんが悪い。私の事を「デブ」って、あのヒトの前で言ったから。
私は身長152?、体重は50はないけど、この頃少し太ったったなと
気にしていたいたんだよ。……それを憧れの従兄妹の悠太君の前で
「理絵、デブッたね」って、あの日言ったから。。
お姉ちゃんの彼氏に駅前のコンビニで偶然会った。
「オッス!」って彼氏の弘和さんの方から先に気付いて声を掛けてきたんだ。
大学の帰りみたい、小脇に数冊本を抱えた弘和さんは、湯上りのような
さわやかな顔で私に微笑んだ。
だいぶ前だけど、居酒屋の帰り道、気持ち悪くなって、弘和さんに一度だけ背中をさすってもらった事がある。お姉ちゃんは「これだからガキはやだ」とか、言ってたっけ。
あの時、「大丈夫?出しちゃっていいよ全部…」と言った弘和さんは、清潔なミントの香りがしたな。。
今も私の横に立った弘和さんから、あのミントの香りが漂う。
「今日は、お姉ちゃんと一緒じゃないんですか?」
「ああ、奈保はまだガッコー。優秀な俺は無罪放免」
「今、時間ありますか?」私は自分でこの言葉を放ってから驚いた。
「あるよ。お茶すっか」
弘和さんは、車の雑誌をレジに持って行きながら軽く言った。
お姉ちゃんが悪い。私の事を「デブ」って、あのヒトの前で言ったから。
私たちはあれから、ケンタでお茶し、……私は急にわざと泣いたんだ。
「どうした?」と近づく弘和さんに、私は小声で「…抱いてください」って
震えながら言ったんだ。だから……
私たちは今、裏街のラブホにいる。
ドアが閉まったと同時に私は弘和さんに抱きついた。
彼が両手で私の頬を優しく包む。
「大丈夫?何かあったの?」
「何も言わないで。何も言わないで抱いてください」
弱々しく、そういう私に弘和さんは唇を重ねてくる。
震えながらも唇をこじあけ、生温かい舌を押し込んだのは私だった。