「こんな料亭じゃないほうがよかったかな?」と浩は失笑した。 「そんなこと…」と良子は答えながらも、完全な個室でとなりの部屋からはかすかに人の笑い声しか聞こえない和室に緊張を隠しきれない。 「今日はゆっくり飲もう」「そうですね。明日は休日ですしね。あ、でも高森さんは仕事なんでしたっけ」時間がたつにつれて良子の緊張もほどけていった。 「まだビール飲みますか?高森さん、今日は全然飲まれないんですね。」 と良子がビールを注ごうとした瞬間、浩は急に良子の腕をつかみ 「話がある。」 「…」 あまりにも突然で良子は思わずビールを落としそうになった。