ギィィィ…
東京の有名な国立某総合病院。
この病院の医者の中で実力は確実にトップクラスの医者、たくみは
出産室のドアが開くのを目を細めて見ていた。
「……失礼します」
入ってきたのはこの病院に研修で来ている都内の某大学の現役生。
将来医者になりたいというまだ夢をもった若者。
『名前は?』
「成見(なるみ)ゆいです…」
『そうか、成見、5分遅い。』
その「俺様」な態度に成見は正直腹がたった。
医療器具の使い方を特別に教えるから来いと言ったのに
それが教える態度か!と言いたくなったが
「それが人に物を教わる態度か!」と言われたら答え様がない…
「すいません。えっと、高橋たくみ先生ですよね?今日、出産器具の使い方を教えてくれるって聞いてたんですけど…」
『あぁ、そうだっけ。オッケ。これは知ってる?赤ちゃんの鼻水を吸い取る…』
そう言ってたくみは難しそうな機会につながった3ミリほどの細い透明のチューブを取り出した。
「あ、はい。使ったことはないんですけど…」
それは赤ちゃんが鼻を詰まらせた時に鼻に突っ込みスイッチを入れ吸い出すという機械だ。正直アレを使うのは痛々しくて見ていられない。
『そう、ちょうどよかった。じゃぁ見せてあげるからそこのベッドに寝て。』
「えっ…私にですか!?ちょっ…そんなに鼻つまってないんで…」
『研修合格のハンコ押さなくてもいいんだよ?』
(この野郎…)
成見はしぶしぶベッドの上に仰向けに寝た。