落ちた。
顔を近付ければ素直に唇を明け渡す貴志。
普段からこれだけ素直だったら苦労しないのだが。
口付けて舌で唇をなぞると、自ら唇を開いて俺を受け入れた。
舌先に感じるアルコールの香りにこっちの方が酔わされそうになる。
「ん…ふ…」
キスの合間に漏れ聞こえる貴志の鼻に掛ったような声をもっと聞きたくて、もっと啼かせたくてその唇を貪った。
絡めて吸って擽って、その甘さに夢中になる。
先に落ちたのはどちらだったのか。
「貴志…」
「ぁ…、智…」
男二人で寝るには少々狭いベッド。
その上に貴志を横たわらせ、覆い被さるように自分もベッドに乗り上げた。
真上から顔を見下ろすと、不安げに瞳を揺らして伏し目がちになる。
何度もしてきた行為なのに未だに慣れない様子の貴志のそんな表情に欲情こそすれ、手加減してやろうなどという気持ちは全く起こらなかった。
伏せられた瞼に口付けを施して首筋へと唇を滑らせると、貴志が息を詰めたのが分かる。
「…っ!」
「相変わらず敏感だな」
「…るさいっ」
「こんなんじゃ他の奴がちょっと触れただけでも感じるんじゃないのか?」
「バカか…。お前だからだ…っ!」
「…嬉しい事言ってくれるじゃないか」
シャツのボタンを外して露になっている胸の中心を指先で撫で下ろす。
程良く筋肉の付いている引き締まった躰が緊張で僅かに震えた。
肌触りの良い滑らかな素肌を掌で、唇で堪能する。
感じる箇所を態と外して。
「あっ…、智…!」
もどかしい感触に貴志が首を横に振る。
無意識なのだろうが、刺激を求めて揺らめいた腰が俺の太股に押し付ける形になった。
貴志の中心が硬く熱を持って自身を主張しているのがジーンズの上からでも分かる。
「ぅあ…っ、ヤダ…ッ」
「イヤなのか?ココ、こんなにしてるくせに」
そう言ってジーンズを押し上げている中心を軽く指で弾いた。
「あっ!や…違…っ」
「何が違う?どうして欲しい?」
「ば…か!そんな…、なんで…っ!」
「言わせてみたいから」
視線を合わせてニッコリと微笑むと、貴志は顔を赤くして横を向いてしまう。
まだ完全に理性が溶けきってないらしい。
「お…お前の誕生日なんだから、お前の好きなようにやりゃいいだろ!」
「そう。好きなようにやらせて貰うさ。だから、」
耳元に唇を寄せて囁く。
「貴志のして欲しい事を教えて?」