智則の声にゾクリと全身が粟立つような感覚に襲われる。
低く熱の籠った俺の一番苦手な声音。
次いで耳に差し入れられる濡れた感触。
すぐ側で鼓膜に響く、くちゅりという濡れた音にオカシクなる。
「んっ…、と…智…」
「何?」
「………」
「貴志?」
「…焦らすな…バカ」
智則を睨み上げようとしたのだが、何故か智則の輪郭がぼやけていた。
すっと伸びてきた智則の指先に目元を拭われて初めてその理由に気付く。
「泣くことないだろ」
「違っ…これは…!」
自分でそれを拭おうとして伸ばした手を捕われ、代わりに唇で掬われた。
「泣くな」
「泣いてない」
きつく抱き締められて息が詰まった。
慣れない優しさに戸惑う。
だが、どうやら違ったらしい。
「どうせ泣くなら違う啼き方をしろ」
「……は?」
「啼かぬなら啼かせてみせよう…」
「何言って…ちょっ、…アッ!」
やはり智則は智則だった。
首筋をきつく吸われたと思ったら背筋を撫で上げられて反射的に背を反らす。
首筋に痕を残されたら襟のある服しか着れない、とか今はどうでもいい事も思い浮かんだが、すぐに考えられなくなった。
背を反らした為に必然的に胸を突き出す形になり、触れられていなかった胸の尖りが智則の服に擦れる。
既に硬く芯を持ったそこは焦らされていたせいで余計に鋭敏になっており、たったそれだけの刺激にも大きく反応してしまった。
「あぅっ!…は…っ」
「そんなに触って欲しかった?」
両方の突起を智則の指先に捕えられ、全身を電流が走り抜けるような快感が襲った。
好きなように捏ね回され、意図しなくても躰が勝手に跳ねる。
「あっ…ん、あぁ…」
指先で弄られていた片方の尖りを口に含まれ、舐られる。
智則の口腔の熱さに腰の奥が蕩けて揺らめいた。
「あ…っ、智…!」
反応しきっている自身がジーンズの中で窮屈さを主張する。
密着する躰で智則自身も昂ぶっているのは分かっているのに、執拗に胸ばかりを攻める手に羞恥を棄てて訴えた。
「智っ…も…ソコ…、いい…から…」
「じゃあドコがいい?」
智則の腰に己のそれをねだるように擦り付ける。
「ココ…」
暴走する熱を抑える術など持ち合わせていなかった。
全て酔いのせいにしてしまえばいい。
智則の余裕を奪ってしまえばいい。
今一度腰を振って誘って見せる。
「コッチが…い…」