「…っ」
「んんっ…!」
ぐい、と頭を引き寄せられて奥に当たる程押し込まれる。
智則が息を詰めたその時、喉の奥に智則の欲望が叩き付けられた。
その熱量に思わず噎せ返ってしまう。
「…だから離せと言ったんだ」
「んだよ、自分だって最後は頭掴んで押し込んだじゃねぇか」
「お前が離さないからだ」
確かに離さなかったのは自分だが、あそこまで押し込まれなかったらここまで噎せる事はなかったと思う。
口元を拭いながら智則を睨むと、何故かニヤリと笑って返された。
「お前、ちょっとあっち向いてみろ」
そう言って体の向きを変えさせられると、その視線の先にあったのは部屋に置いてある姿見だった。
そこに写っていたのは口元を残滓で汚し、申し訳程度に肩に引っ掛かったシャツ一枚の自分の姿。
後ろから智則に抱かれているような構図は酷く卑猥で、羞恥に顔が熱くなる。
追い討ちをかけるように智則が鏡越しに視線を合わせて後ろから囁いた。
「綺麗だよ、貴志…」
「な…っ!?」
「すげぇエロくてそそられる」
「あっ…、やめ…んっ」
耳に熱い息を吹きかけられて、耳殻を甘噛みされる。
身体中を這い回る掌に熱を上げられて力が入らなくなり、後ろから手を回して抱き締めている智則に体重を預けてしまった。
「前を見て」
「え?…や、ヤダっ」
太股に手を掛けた智則に足を左右に大きく開かれて、明るい光の下、鏡の前に自分の全てが晒される。
見ていられなくて鏡から顔を背けて目を閉じた。
すぐ側で智則のクスクスと笑う声が聞こえる。
「凄いよ、ココなんてこんなになってる」
「智っ…止め…、あぁっ」
智則に施した口淫と、先程の愛撫で再び反応していた自身を握られる。
ゆっくりとした手付きで扱かれ、決定的な刺激をくれないもどかしさに自ずと腰が揺れた。
「ぅあ…あ…、はぁ…」
「いい眺め」
「あっ…智っ…、ぁ…ん」
「インラン」
「…っ」
智則に淫乱と言われても否定できない自分がいる。
寧ろあの声で囁かれてゾクリと背筋が震えた。
腰に感じる智則の昂奮を欲しいと思ってしまう。
快感を求めてねだるように腰を振り、喘いで智則を誘う自分は本当に淫乱なのかもしれない。
でも、こんな躰にしたのは他の誰でもない。智則だ。
「お前の…、せいだ…っ」
智則が眼鏡を外して乱雑に放り投げた。
「じゃあ、責任を取らないとな」