主任との残業は今週もう三回目…
「まったく覚えの悪いヤツだな!」
こうやるんだよ、と座った私に覆いかぶさるようにしてパソコンのキーを打つ…
ここ最近ミスばかりして、修正に付き合わせている。主任もあきれているけど、私も舞い上がっちゃって余計ミスる…
主任は最近こちらに転属になった…美男子で、まだ若い。私は男の人には免疫がなくて、この人の出現にはとても動揺した。
…主任の吐息が近い…
「わかった?」
「あ、え?」
「まったく…何を聞いてるんだ」
私は入社二年目の事務員で、おじさん達に囲まれて、割とのんびりやって来た…
精鋭の主任のしごき…初めはちょっと嬉しくもあったけど、なかなか厳しくて…
「小池君、こう何度も残業はもう勘弁してくれよ。君だってデートすることもできないぞ」
「…すみません…私のせいで…」
きれいな奥さん…いるんだろうな…
「主任の貴重な時間…本当に…すみません…」
主任は咳払いをひとつ…
「僕は一人者だから帰って寝るだけだ。貴重な時間は確かだけどな」
「そうなんですか…」一人なんだ…
「あのね…いつも事務所に二人だけと言うのは何かとまずい、わかるね?」
「…?…はあ…」