第1章
彼女は口癖のように言っていた。
「体を売るような人は、男も女もだぁいっ嫌い!!」
「陸がAVとか見たくなったりしても私は止めない。変わりに絶対隠し抜いてね。もしも私が気付いたら、その時は私が陸を殺す時だから」
なぜそんなに莉架が、そういうのを嫌がるのかは分からなかった。
けどその時の莉架は、色の無い目をしていて、見ているこっちがつらくなるような、そんな声だった。
そして決まって、その話をした後は、SEXをしたがった。
莉架は、オレをその相手として見てるんじゃない事も、「SEX」が好きなわけ出ない事もオレは知っていた。
莉架は、愛する2人が気持ちを確かめあうためにするわけで、また、オレとだけしか絶対しないやつだった。
そしてその日もそんな莉架は、オレにもとめた。
「陸…お願い、えっちしたいょ…」
泣きそうな声でいつも見たいに抱き付いて、首とか頬とかにキスをする。
「莉架」
「ん??」
「…オレは違うから…莉架だけだよ」
「陸ぅ…大好きだょ」
「オレも大好きだよ、莉架…」
莉架は愛されることを知らずに育ったからかな。
ただオレの事を純粋すぎるほどに愛していて、だからその反対にオレから愛されたかったんじゃないかなって思うんだ。
莉架の親は、莉架を愛していなかった。
他の兄弟ばかりを愛して、長女という立場を都合よく利用するだけだった。
だからずっと莉架は、家に帰らずにオレの家で暮らしてる。
一人暮らしだから、誰に気兼ねするわけでもなく、新婚みたいな気分で暮らしていたんだ。
そう、あの日までは…