その後お通夜、お葬式と先生と喋る機会はなく骨上げも終わって
集まっていた親戚も引き上げていった。
母の従兄弟の家は母親は以前になくなっていたし、
妹さんも姑さんが寝たきりなので帰り、先生夫婦も旦那の仕事の都合で帰った。
ところが能天気なうちの母は田舎の同級生に久しぶりに会って盛り上がり
近くの温泉に行ってそのまま家に帰るという。
俺だけがばあちゃん家にぽつんと残された。
ばあちゃんと俺だけになった母の実家は退屈で、
明日には帰ろうと考えながらぶらぶらと散歩していたら
母の従兄弟の家に人の気配がする。
「?」と思って近づいていくと先生が座布団の虫干しをしていた。
「!」俺がビックリして立ち止まると、先生が
「旦那が、初七日に坊さんに拝んでもらうのに残っとけって云われてん」と言った。
さらに「R君、お母さん温泉行って置いてけぼりなんやてね」とも言った。
(先生は俺のこと知っていた!)