マコトも辛かったらしい。親友である僕の母親との危ない関係に悩んで来たそうだ。
そして母さんも…
なのにずるずると…
母さんはもうすぐ40になる。素直にきれいな人だと思う。マコトが夢中になるのは…わかる。でも…許せない。
………
「ごめんなさい…」
「許せない…」
重い沈黙…
「…寂しかったのよ」
「男が…欲しかったのか?」
「そんな言い方…やめて…」
僕はポッケから握り締めていた物を取り出した。
母さんはそれを見てギョッとした。
僕が手にしているのはコードレスのリモコン…本体は…今母さんがトイレで装着してきたはずだ。
「トイレに行っていいかしら」
「ダメ!逃げるの?」少し声が大きかった…両隣りの席から視線を浴びる…結局母さんは席を立てなくなった。「とにかく…」
ウェイトレスがオーダーを取りに来た。
母さんは店を出るつもりで腰を浮かせた。
僕はすかさず、「コーヒー二つ…」
母さんは諦めて座り直した。
僕は手を、ポッケに入れたまま…。
中でリモコンを持っている。
「こんなコト…バレたらどうするつもりだったの?」
「…」
「もし、父さんにバレたら…どうするつもりだったんだよ…」
「…」