「おはよう」
「お、おう、」
いつもの無邪気な美咲…
オレはまともに顔を見ることも出来なかった。
「ねえ…遅刻しそうなの…送って!」
「…ぁ、ああ、いいよ」
美咲はオレをじぃ〜っと見た。
「本当にいいの?」
「ああ…なんで?」
「…あんまりすんなりいいって言うから…」照れくさくて死にそうだ…
その日は、ずっとぼんやりしてた。
なぜか美咲の顔がしつこいほど浮かんで来る。茜が珍しく声を掛けて来て、雰囲気が軟化してきたが、もうどうでも良かった…
部屋の二号が気になって、早めに切り上げた。
「ただいま。」
美咲…帰ってるのか
自分の部屋で机に向かってる。
「ただいま」
「おかえり」
向こうを向いたまま…沈んだ声だった。
オレも部屋に。
美咲が帰って来るまで、また二号と遊ぼうと思ってたが、隣りの部屋にいたんじゃ、そうもいかない。
ドアに鍵をかけて、押し入れを開いた…
かわいそうに…
オレは二号の頭を撫でた。
誰も入ってくるはずはないのに、辺りを見回した。
何かわからない衝動に負けて、押し入れに入った。
狭い…これでも二号のためにかなり整理したんだが…
美咲二号に電源を入れた…