「りか!今日どうする?」尚が教室のドアからひょっこり顔を出して言った。
「いくよ、おばさん楽しみにしてるんでしょ」
あたしは19歳のりか。流行りが好きでカフェや映画が好きな普通の今時の大学生。
「じゃ、車先いってるよ、早くこいよな」
少し伸びた茶色い髪が揺れた。
尚…
尚とは中学からずっと友達だった。中学からサッカー部で期待されて、ファンも多かった。でも尚は、彼女とかよりサッカーが好きだっていってた。
高校も、大学もあたしは同じとこに頑張って入った。
尚はあたしのこと、友達とか幼なじみとしか思ってないんだろうけど、
あたしは…
あたしは、尚が好き。中学からずっと、尚だけを好きでいた。でも、あたしたちは『友達』っていう壁を越えたら壊れてしまう気がしてた。今も…
「りか、おせーよ!」
白のオデッセイで待ってた尚は、あたしがトボトボ歩く姿をみて、「どしたの。なんかあったか?」
助手席にのるとあたしの頭をくしゃくしゃってした。(やめてよ…あんたのこと考えてたんじゃん…)
「やめてよぉ、髪型崩れるじゃん!」
いつも。
いつも、気持ちと反対のことを言ってしまう。
「なんだよ、心配してやったのにー。」
尚はタバコをくわえると、ちっと舌ウチしてエンジンをかけた。
あたしたち…ずっと、ずっと、このまま友達なのかなぁ…