秀太郎は毎日私に話しかけた。
「どこの大学?」
「高校はどこだった?」
「それ、どこで買ったの?」
「ねぇ、季吹。」
「おい、季吹。」
秀太郎は女の子に人気があった。男友達もたくさんいた。カッコイイ秀太郎。さえない私。ますます、女の子達からの反感を買っていく私。
「あのさぁ。」
バイト後に駐輪場で秀太郎に話しかけた。
「何?季吹から話しかけてくれるの初めてじゃない?」
秀太郎の目は小学校の同級生みたいだった。
「話しかけて来ないで。」
私の言葉にガラス玉のような彼の目が曇っていく。
「何で?」
「迷惑なの。」
彼の言葉を被せるように私は答えた。
「迷惑?仲間に話しかけて何が悪ぃんだよ。」
秀太郎の顔が険しくなっていく。
「嫌いなの。」
私はゴミでも捨てるように言葉をこぼした。秀太郎はしばらく黙っていた。