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星に願いを NO.10

小椋都  2007-02-07投稿
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「うわっ…!」

男は私から離れて目を覆い、必死に水道の蛇口を探した。私はその隙にカバンを手に取り、家を出た。

とにかく走って、走って。



どこへ行けばいい?



私に行くところなどない。



「伊吹くん…。」



私は秀太郎の部屋へ走った。一駅分ある秀太郎の部屋まで止まることなく走った。

秀太郎の部屋は明かりはついていなかった。

「今日…バイト休んでた…。」

ピンポンとチャイムを鳴らしてみた。秀太郎は出て来なかった。
私は疲れを感じ、その場にしゃがみこんだ。

「いないよね…。」

真夜中の1時くらいだった気がする。
顔を上げると月が私を見ていた。
どこかの有名な占い師がテレビで言っていた。

“女は月を見てはいけない。寂しくさせる。”と。

私の目に涙が溜っていった。誰も助けてはくれない。私は独り。

私は立ち上がった。もうどこへでも行ってしまえると思った。

「季吹…?」

聞き覚えのある声。
マンションの通路の一番端にコンビニの袋を下げた秀太郎がいた。
夢かと思った。

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