部屋を出て右側にある階段を亨はゆっくりと降りていく。そこにはいつもの風景があった。
降りてすぐに居間があり、角にはテレビ、それを囲むように白のソファが置かれている。ソファの前には全部硝子で出来ている四角テーブルがある。簡単に言えば、普通の家だ。
「早くイスに座って朝飯食べろ。片付かないだろう?」「わかってるよ、父さん。」そう言いながら弟の隣のイスに座る。
「オハヨ。兄ちゃん、あのさ、朝から頼み事言って悪いんだけど、今日帰ってきたら・・・勉強教えてくれない?」「いいけど、拓也(たくや)最近そればっかだな。ちゃんと勉強に付いていけてんのか?」拓也は焦りながら答える。「えっ!?あ、あぁ、ギリギリ・・・」「ハァ〜」俺は呆れて溜め息が出た。弟は県内の有名な中学校に通っている。最近なにに夢中になっているのか知らないが、授業中勉強に手が付かないらしい。 話を聞いていた母が話に入ってきた。「拓也、いい加減にしなさい。お兄ちゃんだって忙しいのよ?母さんと父さんで話あったんだけど、明日からあなたに家庭教師つける事にしたから」父の口が開いた。「ちゃんと勉強しないお前が悪いんだぞ。反省しろ」