「新学期早々二人も遅刻がいるのかー?」先生がクラスの沈黙を破る。「えぇと、遅刻は、神村亨(かみむらとおる)と桐生大輝(きりゅうだいき)か・・・お前ら後で進路指導室に来いな♪」「・・・・・」大輝は表情を変えず無言のままだ。「じゃ席に付けーHR続けるぞ」
亨は教室をふと見た。窓側の一番奥に空席が2つ横に並んでいる。
(ぇえっ!隣の席!?) その時、つっ立ったままの亨の後ろから低い声がした。「・・・通れないんだけど・・・」 ビックリした亨の声は裏返っていた。「ゴ、ゴ、ゴメン、ね?」そう言うと亨はドアの前からよけた。大輝は亨の前を横切る。微かに良い香りがした。香水だ。その香りに酔いながらも亨は自分の席へと向かう。
二人が席に付いた後、着々とHRが進められていく。
――ドキドキドキドキドキドキ――――亨の心臓は爆発しそうだった。
『最近、気になる人がいる・・・』
そう、その気になる人とは
桐生大輝だったのだ。