気が付かない振りをしているが、先程から俺の顔をちらちら見てる林日向…。
何か言いたいことがあるなら、さっさと言わないか!林日向…腹が立つ…!
俺があれだけモテまくっていたというのに全く動揺してない…林日向…!
ますます腹が立つ…!
川沿いの美しい桜並木が、車窓を流れてゆく…。
「ストぉ〜プ!」
俺は叫んだ。
「えっ??なんだ?!」
驚いて、車を急停止させる日向。
「花見のつづき…」と、言うと俺はさっさと車から降りた。
「おい!待てよ!和雪」
日向も車から降りた。
「待てってば!和雪!!」俺は全く無視する。
振り向かない俺の背中に
日向は…。
「真田部長のお嬢さんと
お見合いするって本当なのか???」
林日向…本当に鈍い男だ。とてつもなく腹が立つ…。俺は、思わず後ろに振り返った。
空を見上げれば、桜の花びらが、ひらひらと粉雪のように2人に舞い降りる。
雲の隙間から一筋の月の光…日向にふりかかった。
とても綺麗な日向…。
俺は、たまらず日向を抱き寄せた。
「………!」
声にならない悲鳴をあげて俺の腕の中でもがく日向。「日向…愛してる…」
どうか俺の思いが、このウルトラ鈍ちん男に届きますように…。
祈るようにもう一度、俺は呟く…。
「日向…愛してる…」
続く