「春日、お前。野球、辞めんなよ」
「寝るんじゃないのかよ?何だよ急に…」
春日は、ベッドを振り返る。
「さっき、居酒屋で言ってただろ?引退するかも…って」
「ああ。良い球が投げれないからな」
「俺は、良い投手だと思うけど…人気あるし」
「俺の技術が良くて、人気あるわけじゃない。俺は、智佳史が捕手じゃなきゃ、良い球が投げれない。お前のリードがなくちゃ、何にも出来ない」
一緒にプロに行けると思ってた。
しかし、プロは春日しか取らなかった。
智佳史は、ドラフト指名されなかった。
『大学で修行する。いつかプロになる』
そう言った、智佳史は、現れなかった。
待っていたのに―。
「それなのに、怪我ってなんだよ?連絡ぐらいよこせよ!俺は、智佳史以外のリードじゃ、感じない」
もう、止まらない。
「俺は、智佳史が好きだから」
勢いにまかせて、封印していた言葉を、春日は解き放った。
ああ―。智佳史は、軽蔑するだろうか…。