壁から生えた男は血の気のない青黒い顔をしていた。
無表情で紫の唇、白い膜が張ったように濁った瞳。
生きた人ではない。
私は何故か死んだ人に挿し貫かれている。
私に冷たい体で覆いかぶさって紫の唇を重ね、
両肩を手でがっしり掴み、
腰を激しく突き上げている。
そして私は髪を振り乱して感じてしまっていた。
「あぁ!ぁ!ぁ!ぁ!ダメぇ!や・・め・・・てぇ!ぁぁん!」
力強い突き上げに合わせて腰が浮いて壁から離れ、艶やかな喘ぎ声が漏れてしまう。
にじみ出る汗で濡れた髪が首筋や頬に張りつく。
桃色に染まった胸元が荒い息遣いで上下していた。
無表情なままの男は段々と腰の動きを早めた。
私は温もりの微塵もない冷たい男にしがみついていた。
「ん・・・んん!イク・・・」
力のない声がでると同時に私はビクッと体を震わせてイッてしまった。
男は動きを止めると私を壁から剥がして何もない空中に向くと腰をがっしり掴んで再び突きはじめた。
私は落ちないようにあわてて男にしがみついて耐えた。
パン!パン!パン!パン!
凄まじい力で突き上げられて痛みすら感じる。
私は目をつぶって固まっていた。
男は突然、私のお尻を鷲掴みにするとひときわ強く中まで挿し入れると腰を震わせた。
ドクンドクン・・・
私の中でやはりそれが脈打って冷たい感触が拡がっていった。
何も考えられなくなっていた私は荒い呼吸に肩を上下させながら呆然と男の肩ごしに壁をみつめたまま
いつしか気を失っていた。
あれから何日たったんだろう。
もう数える事もできない。
堀田さんの死体もそのままほったらかし。
あの日、気を失った私は目が覚めてからいままでずっと霊の相手をさせられている。
あの男はあれきりでいなくなったけど後から後から違う霊が私に乗ってくる。
慣れたのかどうなのかわからないけど、今となっては空中に浮かぶ奴らがはっきり見える。
たぶん力尽きて死ぬまで弄ばれてもおわらない数だ。
もしかしたら死んでも霊となって犯されるのかもしれない。
私は四つんばいで後ろから冷たいモノで突かれながらそんな事を考えていた。
終わり