鍛えあげられた星史朗の身体。あの大胸筋に顔を埋めてグリグリしまいたい…!あの上腕三頭筋で息も出来ないぐらい抱きしめられたい…!
「…宗近…また…ヨダレ」小声で入江が僕に肘鉄を食らわせながら指摘する。
「あぃ…っ?!」今度は左の口角から垂れてる…!
慌てて僕はそれを拭った。星史朗は、切れ長の目で僕をキッと睨み、くるりっ、踵を返すと、すたすた更衣室へ向かってゆく。普段でも無口でどこか冷めているような、怒っているような佐藤星史朗。僕が入江と話をしている時は特に薄い唇が、への字に曲がっていて怖かった。僕は入江の顔を横目でちらりみる。小さい版、松嶋菜々子か韓流ドラマに出てくる女優たちのような瑞々しく、透き通った美貌の持ち主である。
本当の美人というのは、化粧品で、塗りまくりしなくても綺麗なんだな〜とか、きっと星史朗は入江が好きなんだろうな〜とか、
僕は星史朗の後ろ姿を眺めながらぼんやり考えるのだった。