「いひっいひっ!つぅかまえたっ!」
太郎の勝ち誇った顔がだんだん近づいてくる。
愛子の細い腰を右手でしっかと掴むと木をよじ登るようにはい上がった。
お腹の上まで顔がきた。
愛子は必死になって太郎の顔面に拳を叩きつけるがなにしろ寝た状態で非力な腕を振り回してもあまり意味がない。
むしろ太郎を昂ぶらせているかもしれない。
「うほっ、思った通りやわらけえ尻だ!」
太郎は仰向けになってしまった愛子の右脚を膝で挟んだまま尻に両手を回して掴むとこねくりまわした。
「やだぁ!気色悪い手で触らないでよぉ!」
愛子はがむしゃらに太郎の顔面を叩きながら半泣きで叫ぶ。
当然やめる気配はない。
テンションの上がった太郎は愛子のはいている水着のパンツの後ろを掴むと思いっきり上に引っ張り上げた。
赤い生地が真っ白な尻肉の谷間に紐のように細く食い込む。
見えやすいように愛子の左の脚を抱えて横向きにさせる余裕ぶりである。
「ひゃひゃ!オラどうした!?尻がぷるぷるしちゃってんぞ!」
「痛ぁ!やだぁあああ!」
愛子の悲鳴に会場から拍手喝采が起こる。
太郎はパンツを引っ張り上げたまま右腕を仰々しく振り上げるとむき出しのお尻に手の平を添えた。
そして大きく円を描くように撫で回す。
手が指先までまんべんなく肌に吸い付いて離れない。
形の良い尻肉の丸みを確かめるようになぞる。
太郎はそれを淡々と繰り返した。
愛子は性行為の経験が無いわけではない。
だがまだ未熟な若者同士の溢れる性欲をぶつけ合うようなものしか経験していなかった。
まとわりつくような親父肌の前戯など味わったことなどない。
お尻の皮膚を武骨な指がはい回る。
ただその感触が繰り返されているだけなのに、
愛子はその手の感触を異常に意識してしまっていた。
お尻から全身へ
ゾクゾクする何かが波紋のように広がる。
一瞬、手を振り下ろすのを忘れるほどに・・・。
ハッと我に返った愛子は体を思い切りねじって抱えられた左脚をひっこぬくと、二人の間にその長い脚をこじいれて太郎の顔面を蹴り放した。
「うう〜、気持ちわるい」
なんとか立ち上がった愛子だがすでに息が上がっていた。
金網の壁にかかっているタイム表示に目をやる。
残り12:34、33、32・・・
絶望が見える。
愛子は涙がこみあげてくるのを感じた。
続く