私は彼に近付いて行き、彼の肩を抱え、
『ごめんね。私、他に好きな人がいるんだぁ。だけどこんなに私のこと真剣に考えてくれてたんだぁ!ありがとう!』
と彼の頭を撫でながら言ったのです。
彼はただただ泣いていて、その健気な姿や、私を思ってくれた彼の純粋な気持ちに心が打たれつつあったのです。
私はその姿を見て、切なくなり彼の正面に立って思わず彼を抱きしめてしまったのです。
その時は愛情というより同情というほうが合っていて彼の深い思いに答えられなかったことに切なくなり、また彼の真剣な姿にただ慰めなければならないと思い抱きしめたのです。
彼は涙で私の胸を濡らし、両腕で私に抱きついてきて、私をギュッと抱きしめたのです。
私は胸や腕から伝わる彼の温かさや、ギュッと抱きしめられた感触に、急に胸がドキドキと高鳴り始めたのです。
『僕は今でも…マキさんのことが…好きです。忘れたくても…忘れ…られませんこんなに人を…愛したいこと…ないし、マキが…好きです…』
とむせび泣きながら、真剣に私への思いを伝えたのです。
私も彼のストレートな気持ちがグサッと胸に刺さり、自然と彼を抱きしめていた腕に力が入り、彼を抱きしめていたのです。
その瞬間彼は下から私を覗き込み、泣き崩れた顔で、私の唇を奪ったのです。
私は何も考えることができず、自然の流れで彼を受け入れてしまい、お互いにキスを感じたのです。