その日は、高層ビルの最上階のレストランでお得意先と昼食をとりながらの商談がある事となっており私は書類を抱えそこに向っていた。偶然エレベーター前で同じ会社で専務に仕事のお礼に昼食をご馳走になるという会社一番の美人秘書といっしよになった。別に一緒に仕事をしたわけでも無く、面識がある程度だったが、女たらしの専務と不倫の噂もあった女だった。こちらがあやしいという視線を投げ掛けたと勘違いしてか、エレベーター内で言い繕いを聞くはめとなった。冷たい感じの美人とは裏腹によく話す娘だと感心した。高級な香水の匂いがなぜかここちよかった。他に5名程のったせいかエレベーターは各駅停車状態で、聞きたくもない話を聞かされていたのでうんざりしていた。30階を過ぎたところでやっと二人になれたので、あえて話を中断するように強い口調で、そんな話より今度飲みに行こ、と誘ってみた。一方的に相手に興味のない話を無理矢理に聞かせていたことに気付くとともに、はじめて私の目を見た。一瞬困った表情をしたが、次の瞬間、私を男と意識したのか、少しためらいながらメール入れて下さいとの返答があった。
その後しばらくの沈黙があったが、エレベーターに乗った時と明らかに逆転していた。彼女のおしりの形のわかる清楚な紺のタイトなスカートと細い足首を見ながら、この娘、以外と誘われ慣れていないな、強引に行けばその日にホテルへ押し込めるかも、などとも考えた。
急に、横振れがあり、その後ガタンという一瞬浮き上がる感覚の後、ものすごいごう音に包まれた。何が何だか判らなかったが、彼女は反射的に私にしがみつき、次の瞬間の私達はもつれるかの様に床にものすごい勢いでたたきつけられた。しばらくの間、気絶していたのかもしれない。何が何だか解らない。ただ周りも真っ黒な狭い空間にいることだけはうっすらと判る。