「絶対!さ・・せない・・・からぁ!」
愛子はガクガクする脚を必死に閉じて抵抗する。
さんざん押し合いへしあいしてるうちに時間は30秒ほどになっていた。
「いいかげんにしろぉ!」
業を煮やした太郎が脚の間に強引に割り込んできた。
だが愛子は柔軟な身体をひねって太郎の腹に足をかけると突き放した。
二人とも、愛子は特に疲れていたが両者がすぐに起き上がる。
太郎はもうじりじり寄るなどとゆうことはしなかった。
愛子も走るように太郎から逃げる。
すぐにコーナーになってしまったが時間はあと20秒程度、必死で抗う女に暴力なしで挿入するのは困難な話だった。
太郎は愛子につかみかかろうと肩に手をのばす。
愛子はこれが最後とばかりがむしゃらに殴る。
倒せはしないが邪魔にはなる。
愛子は疲れて動きが緩慢な太郎をみて勝利を確信しかけた。
だがその時だった。
「ぎゃああ!」
突然、太郎が悲鳴をあげると顔を抑えてのたうちまわる。
「眼がぁ!眼がぁ!こいつ眼に指あてやがったぁ!サミングだあ!」
愛子はわけがわからず肩で息をしながら呆然と立ち尽くす。
すぐにアナウンスがかかる。
『試合を止め、審判による協議を行います。しばらくお待ちください。』
残り時間13秒、だが不安だけが愛子の胸中を覆い尽くす。
眼に指を入れた覚えもなければ感触もない。
事実、これは太郎の苦し紛れの機転だった。
実際には眼はなんともない。
だがまともな格闘技でもないこのショーに、太郎の嘘の訴えを検証したりするような、そんな公正なシステムがあるとは到底思えない。
ここでは女は抗い、最後に犯される様をみせて客を楽しませる。
そうでなくてはならないはずだ。
はじめから従順なのもつまらないし、女がやられないのも同じだ。
ここの運営はこれらのショーを観に来るおそらくとんでもない金持ちどもを満足させる必要があるはずだ。
太郎はそう見込んで行動にでたのだ。
そして眼の状態を誰も確認しに来ないのを見て確信を深めた。
大会ルール?
不可抗力による反則と認められた場合、雌による反則は1分間の雄による愛撫を受ける事。尚、この間は試合時間は経過しない。
太郎がのぞむ裁断はこれだった。
無抵抗で好き放題の時間が1分あればあの女を骨抜きにできる。
試合再開と同時に入れちまえば済む。
そして場内にアナウンスがかかった。
続く