ガタンガタン…
ゆっくりと、電車が動く音が心地好く早苗の耳に届く。地下鉄に乗るのは、この音を聞くためなのだ。意味もなく、終点までのる。
乗り物に揺られながら眠るのは、早苗の子供のころからの1番好きなことだ。女子高生になっても、それは変わらない。
ゆったりと音を聞きながら座って、ガラガラな地下鉄の中で眠りについた。
……………そう。
そこまではいつもどうりなのだ。いつもどうりの、土曜日の昼下がり。
しかし、今日は、早苗の地下鉄ライフがいつもと違う音を奏でた。
ヒソヒソ…
ヒソヒソ…
(?人の話し声?)
早苗の耳に、何やら人の声ともとれるものが届いた。それに、なんか、寒い。何故だろう。
そう思い、早苗はそっと薄めを開けた。
目の前に、五人ぐらいの人が見える。
そう、まるで早苗をとりかこむかのように。
「なぁ、コイツマジで寝てんぞ」
「可愛いし、ありがたくいただくか?」
「モノあつかいかよっひでぇなぁ」
「んだよ、オメーも同罪だ。」
そんなことを話している。男だ。
(………あれ?)
よく見ると、早苗の上着がはだけていて、胸があらわになっている。スカートなんてナイフで切り裂かれてる。寒いのは、このせいか。
(…これは…もしかして…)
ダラダラダラ、早苗の背中に嫌な汗がつたう。
「いっただきまぁ〜す♪」
早苗の股のところに手が触れた。
他の四人も、ニヤニヤと笑っている。
早苗と同い年ぐらいか。
(え…えぇっとぉ…)
ダラダラダラダラダラダラ。
目を、あけるにあけられない。体が何故か動かない。
当たり前だ。
早苗は、処女でこそないものの、経験はものすごく浅かった。
ましてや、複数なんて…
大地の下をはしる、暗いガラガラの地下鉄。
助けてくれる人は、いない。
早苗に、目をつむり続けるほかに、道はなかった。