身体に異変が起きたのはセックスをし始めて半年ぐらい経ってからだった。
妊娠なんて想像していなかった。初潮だってまだだったし。けど少しずつ、少しずつ、2人の新しい命は大きくなっていたんだね。
その事を確信するにはそう時間はかからなかった。
6歳上のりゅー君のお姉ちゃんの部屋にあった妊娠検査薬、公園のトイレの外にりゅー君を待たせて便器にまたがり尿をかけた。結果は「陽性」こんなにあっけなく妊娠を知らされるなんて…トイレから出るとブランコに座っていたりゅー君が鞠華の元に駆け寄る。
「鞠華ちゃん?」鞠華は茫然としながら検査薬をりゅー君に渡した。しばらく沈黙が続いた。沈黙を破ったのはりゅー君だった。「駆け落ちしよう?」迷いはなかった。何もいらなかった。
ただひたすら堤防を歩いた。しっかりと強く手を繋いで…この夜空はきっと忘れない。今にも泣き出しそうな夜空はまるで鞠華みたいだから…
泣き出しそうな夜空が泣き出した。やまない雨とずぶ濡れの身体、寒い…もう無理だよ。限界…いつの間にかりゅー君と強く繋いだ手は離れ、鞠華は急ぎ足になっていた。
「鞠華ちゃん?」りゅー君の声は後ろ。
鞠華は振り返り言った「もう帰ろう…」涙がとまらなかった。