高校生のような雰囲気を「彼」からは感じ取れなかった。
伊那谷 理子(イナタニ リコ)は学級委員長として、クラスの一部から発せられているただならない威圧感に日々困惑していた。そんな理子の顔を見ながら友人の麻実(マミ)が話しかけてきた。
「理子、また彼?」
「うん、なんか授業中だけやけに怖いっていうか・・・」
「梶乃 桐也(カジノ トウヤ)か・・・大人っぽいよね」
理子の友人2人もその威圧感には気づいていた。
しかし、理子は授業中、威圧感とさらに別のものにもまとわりつかれていた。
(言えないよなぁ、梶乃くんが私の方見てくるなんて。)
それは彼の舐めるような淫靡な“目”だった。