「樫那(カシナ)くん」
彼女は髪は茶色、目は青く、肌はとても白かったが、外国人ではなかった。彼女はハーフで、生まれも育ちも日本だった。
だけど一部のクラスの女子からからかわれているのは噂としてはあった。多分、僕はその瞬間を目撃してしまったんだと直感した。
「ごめんね、ヘンなとこ見られちゃったな・・・ハハ」
笑いながら彼女は目をこすっていた。涙は止まってはいなかった。ボロボロ瞳から落ちていた。
「水森さん?どうしたの」
もっとかけられる言葉が、気の利いた言葉があるはずなのに。
水森サテラは泣き続けている。
「あ。あの!俺・・は!き・・・・・・キミのこと!ヘンだなんて思ってないから!!」
詰まり詰まり言葉が出てきた。先ほどの返答だと解釈したのか彼女は無言で頷いた。
そして、泣き止んだのか一呼吸おいてから僕にわけを話した。
「体操着が、その、こんな感じで・・・ハハ」
僕に向けてみせた彼女の体操着は胸の部分やら名前の刺繍やらがズタズタに切り裂かれていた。