サテラはベッドに向いた。
周が今度は夕陽を受けていた。なんだかネクタイが苦しそうだとサテラは思って、彼の首に手を回した。
「ネクタイきつい?」
サテラはだんだん止まらなくなってきている自分に気づき始めた。
周が宥めるように撫でてくれた。
「ううん、きつくない」
サテラの青い瞳がシャツのボタンに移った。
「いいの?水森さん」
サテラは顔を上げて笑った。
「ハハ、水森さんとか樫那くんて呼ぶのやめよっか。サテラでいいよ」
「そっちこそ、周でいいよ」
あと一歩のところでサテラはお茶を濁した。あのまま周が何も言わなければ一線を越えていた。
「サ、テラ。あのさ、また今日みたいな事が起きたら俺で良ければ相談に乗るから。」
「うん、分かった。ありがとね」
クラスでの明るい彼女だ。
周はまだサテラを全部知れていないと思った。
「周は、悩みは無い?」
あるにはあるが、サテラと居るとどうでもよくなる小さなことだ。と、言うと彼女は照れ隠しなのか周の足に寄りかかった。
「今日、両親だけ旅行で居ないんだ」
サテラが淋しそうにつぶやいた。