その日の放課後、生徒会室に茜が現れた。皐月は各部活の領収書に目を通しているところだった。
「…ノックくらいして」
茜は皐月の言った事には答えず、真っ直ぐ皐月の仕事机のところまで来ると、バンと手を置いた。皐月は顔を上げた。
「あんたの可愛い後輩だけどね、今日授業に出なかったの知ってる?」
「ええ…」
皐月はそっけなく答えた。
「あの子ね、あたし気に入ったから預かってんのよ。大人の女に教育してやろうと思ってね」
皐月はさっと顔色を変えた。
「何…ですって…?」
茜は可笑しそうにクックッと笑った。
「美郷をどこにやったの?教えなさい!さもないと…」
詰め寄る皐月に茜は冷ややかな視線を向けた。
「行きたきゃ行けば?放送室にいるからさ…」
その言葉を聞き終わらぬうちに皐月は生徒会室を飛び出した。茜はまた可笑しそうに笑いながら皐月の背中に向かってどなった。
「見たいならせいぜいあの子が処女を散らすところでも見物してきな!」