「俺は、有沢は、今のままで十分良いと思う!」
真衣は思わず涙をこぼした。
「ありがとう!でも、でももし日向野くんが嫌いな部分があったら、遠慮無く言ってね!私、直すから!」
二人きりの体育館で女子に涙を流されながらドMだと告白されては、日向野には他に言いようが無かった。
しかし、帰り際に日向野の中の男が一瞬だけ目覚めた。
「今日・・・傘無いんだ。俺」
日向野は無意識に真衣の性癖を実験していた。
「私・・・うん。貸すよ!!」
満面の笑みで傘立てから自分の傘を日向野に差し出した。
「相合い傘とかしたいけど、家が逆だもんね」
「ごめんな有沢、明日返すよ!」
声とともに走り出した日向野は豪雨の中に消えていった。
真衣はあまりの雨の勢いに息ができなくなりそうだった。
制服は上から下まで全てが濡れきっていた。
下着はブラはおろか、スカートもお尻に貼り付き始めていた。
(日向野くんの分まで濡れてると思えば・・・)
思った途端、乳首がピクッと反応した。雨粒が下着の上に当たったのだ。
「っ!」
カバンの中身がなるべく濡れないように真衣は前かがみになっていた。
髪が邪魔して前がよく見えない。
少し大きな水溜まりがあったので真衣は避けた。
が、靴は目の前の段差を捉えきれず、踏み外した。
水溜まりに真衣はうつ伏せに倒れた。
泥が顔や胸、スカートに染み付いた。
下着ももはや意味がないほど真衣は泥と雨にまみれた。
(日向野くん、風邪なんかひかないよね)
自分のことなどどうでもいいかのように、真衣は日向野に思いを馳せていた。
靴擦れを起こし、真衣はついに裸足になった。
アスファルトの小石が足の裏に痛い。
しかし真衣は少し気持ち良かった。
(やっぱり変態だよね。私)
両手に靴を持ったまま真衣は家路を歩き続けた。
途中、車から声をかけられたが、真衣は無視して歩き続けた。
「お嬢ちゃん乗ってく?」
「下着変えてあげよっか!?」
あまりに無神経な言葉に真衣は涙が出てきた。
家までの道のりがとても長く感じられた。