翌日、風呂にも入って体を暖めたつもりだったが、真衣は風邪気味だった。
「熱い」
誰に言うともなしにつぶやくと、真衣は携帯電話を手に取った。
日向野からメールが来ていた。
『俺最低なことした。本当にごめん。どうかしてた。』
真衣はそれを見て微笑んだ。
「日向野くん、優しい」
元をたどれば日向野のせいで真衣は風邪をひいたようなものだが、そんなことは今の真衣にはどうでも良かった。
真衣は大丈夫だとウソをついたメールを送った。
数十秒で返ってきた。
『今日休んでるんだろ?やっぱり昨日の雨で風邪ひいたんじゃないか?』
真衣は返信に困ったが、また日向野からメールが来た。
『今日バレー部の山内と一緒に見舞いに行きたいんだけど、いいかな?』
有り難迷惑なこのメールを、真衣は喜んだ。
山内はあまり喋ったこともなく、特に気にすることはないし、何より日向野が来てくれるなら最高だった。
すぐにOKメールを出すと、真衣は再び眠りについた。
起きたのはまだ高校も終わっていない午後三時頃だった。
ダルい体を引きずって真衣が向かった先は風呂場だった。
なんとかシャワーを浴びると、直ぐに新しいパジャマに着替えた。
「こんなもんかな」
少し胸元を開けておく。
真衣は山内の存在が頭から消えかかっていた。
小一時間して二人が来た。
昨日の雨がまだ降っていたため、二人は多少濡れていた。
「大丈夫か?有沢」
「うん、全然、平気」
山内も心配そうに見つめていた。
「山内くんもありがとう」
「日向野に何されたのかわかんねぇけど、ウチのマネージャーは一人だけなんだからな」
日向野は申し訳なさそうに苦笑した。