「そんなにきつく結ばなくてもいい。ただ付けてきてくれるだけで良いんだ。これも」
卵を小さくしたような物体が山内の手のひらに乗っていた。
「そ、それは・・・」
「リモコンバイブだ」
「ばい・・・ぶ?って、携帯とかの」
しかしスイッチを入れて震えだしたバイブは携帯電話のそれとは比べ物にならなかった。
真衣は息を呑んだ。
「これを有沢の、アソコに付けて学校に来てくれ」
真衣は無意識に首を横に振っていた。
「ぃや、山内くんおかしいよ!きゃ!!」
壁に押し付けられ、首筋にカッターの刃が突き付けられた。
「有沢、俺はお前が大切なんだよ。誰よりも、日向野より大切にしてやるから!!」
山内は無理矢理真衣にキスすると今度は真衣の部屋中に何か霧吹きの様な物をかけた。
山内は洋服や下着にも次々と吹きかけていく。
「なに!?山内くん!?けほっ!」
「制服と体操着にもかけたからこれで全部だな」
部屋や洋服、下着は湿るどころかぐちゃぐちゃに濡れていた。
「有沢、もうバイブと縄無しじゃ生きていけないかもな」
言い残して山内は去っていった。
わけがわからないまま、真衣はベッドに裸体を投げ出し、泣き続けた。
数時間後、真衣は起きると熱が引いているのを感じた。
汗をびっしょりかいている。
真衣はじわりじわりと恐怖が返って来るのを感じた。
胸はまだ縄で締め上げられていたし、パジャマも破れたままだ。
しかし、不思議と不快感がなくなっていた。いや、快感に変わっていた。
「っはぁ、はぁ、はぁ、気持ちいい・・・もっときつく、縛りたい。ん、ん」
真衣は後ろ手で結び目を引いた。
「っあう!!あ、いい・・!」
真衣は口元に笑みを浮かべていた。
僅かな理性が真衣を現実に戻した。
「っくぅ!!!っつぅ、ん、ああ!!」
山内が残したカッターで固い縄をなんとか切ることが出来た。
気づくと部屋中が暑くなっていた。
真衣は部屋から出ると親に助けを求めたが、時計は夜の11時を回っていた。
「ウソ・・・」
急速に眠くなってくる。
携帯で日向野に連絡しようとしたが力が入らない。
体中が熱い。
部屋も。
いや、自分の熱が部屋に籠もった感覚だ。
山内は霧吹きの空瓶を残していた。
“完全麻痺性媚薬”
「なによ・・・・これ」
ショックと眠気とともに真衣は翌朝を迎えた。