佐賀先生は我が娘を宥めるように言った。
「ウチのマネージャーは一人だけだって、いつも言い聞かせてたのにな」
山内は苦々しく言う。
「それを日向野が何を勘違いしたのか、最低な男ですよ」
「なに言って・・・みんなも聞いたでしょ!?山内くん!?」
佐賀先生が制した。
「良いんだ。だがもう少し日向野の言うことを聞いてくれ、有沢」
「先生!?日向野くんは何も」
「日向野に脅されてるんだよな!?」
「自分が居なきゃバレー部が勝てないからって、何でも出来るから!日向野のヤツ!」
真衣は口々に言い放たれる意味不明な言葉に目を丸くし、すぐに合点がいった。
「山内くん・・・・!!!」
「さ、先生たちは戻って下さい。もうすぐ授業が始まりますから。実は今からここに日向野を呼ぶんです」
「山内、俺たちも手伝うぜ!マネージャーをこれ以上傷つけたくねぇ!」
「いや、サシで会うと約束してしまったから。みんなすまない。必ず、有沢を助ける」
山内の言葉にさらに手伝うと言った部員たちもいたが、先生にも促され、山内の思惑通り生徒は去っていった。
最後に先生が山内に告げた。
「山内、アイツの親友のお前だから任せるんだぞ。普通は日向野は警察行きだからな。何かあったらすぐ先生を呼ぶんだぞ。有沢を頼んだぞ。」