「!!・・・・・・・・?」
「真衣?」
真衣はなんとか感謝の意を表そうとしたが、うまく声が出てこない。
「有沢?誰にやられたんだ?」
藤堂先生が聞いている。
紙とペンがあれば。
真衣は片手をなんとか上げて字を書く動きをした。
「はい、ノート!真衣、書ける?」
真衣は力を入れてノートに“山内”と書いた。
「山内!!あのバレー部のか!!」
真衣は力を込めてうなずいた。
安堵から涙が溢れてきた。
これですべて終わった。
山内の奴隷になんか誰が・・・
「有沢、なんでウソつくんだ?」
「!!!」
「佐賀先生が山内と一緒に俺の電話に出てくれてるんだよ。お前が居なくなった昼休みに」
「なかなか戻って来ないから、日向野くんも呼んでバレー部員と一緒に真衣のこと探したんだからね!なんでこんなこと・・・山内くんも佐賀先生も一緒に探してくれたんだよ!?」
これも山内が佐賀先生や他の部員を騙して仕組んだアリバイ工作だった。
真衣は事情も状況も知らない日向野を見つめて涙が止まらなくなった。
「今5時間目が始まったばかりだ、お前が犯人を教えてくれれば俺たちで穏便に済ますから!」
「犯人が逃げたら、私、悔しい。真衣!本当に誰なの!」
山内はこれ以上ない完璧なアリバイを作っていた。