とにかく日向野に着せられた濡れ衣だけでも。
真衣は紙にペンを走らせた。
『山内が先生たちをだましてる』
「え?だましてるって…」
真衣は震える腕を懸命に動かした。
『日向野くんが私を襲ったことにするつもり』
「え…?え……山内が…?俺を…?」
何も関係のない日向野を巻き込んだことに真衣は苛立ちと悲しみで涙が出てきた。
「待ってくれ有沢。先生たちまで俺を犯人だって決めつけてるのか!?」
真衣は頷き、日向野の手を握ろうとしたが、手のひらはベッタリと精液にまみれていた。
「失礼します!」
「や、山内!!」
真衣は睨みつけたが山内はこともあろうに日向野に話しかけた。
「ちょっといいか」
日向野は山内に連れられ保健室から出て行った。
「有沢。仮にあいつが犯人でも証拠が無いんじゃ…」
真衣は自分の携帯に残っている山内のメールや理沙が拭き取ってくたが、まだ体中にベッタリと残っている山内の精液のことを書こうとしたが、山内が入ってきた。
「日向野に話しました。真犯人は別にいます。だって彼は僕らと一緒に有沢を探していたんですから。佐賀先生にもそうお伝えします。」
「じゃあ一応佐賀先生のところに行こう。ったく…!日向野を疑ってたのか?」
「この前体育館で二人きりでいたものですから。てっきり」
「真衣、私も行ってくるね。ここで休んでなよ」
真衣は引き止めようとしたが少しかすれた声が出ただけだった。