(…珍しいな、河本さんが朝練にきてるなんて…)
普段あまり練習に顔を見せない先輩に内心驚いていると、なぜか先輩も驚いた顔をみせて足早に校舎に歩いていった。
「?」
ふと時計を見ると既に数字は30分を指している。
(やば、そりゃ焦るわ)
せめて汗でベトベトの体を少しでもシャワーですっきりさせたかった俺は慌てて部室に入って服を脱ぎ出す。汚れた上下をロッカーへ押し込んで奥の簡易用のシャワー室へ入ろうとした。
ガチャ
「?」
誰もいないと思い込んでいたシャワー室のドアが空く「…ごめん。まってた?」
…
一瞬息をのむ。
現れたのは細身で色素の薄い茶色の短髪の男。
シャワーを浴びたそのままの姿で濡れた体を拭きもせずに立っている。
「早く使ったら?時間ないでしょ?」
無表情のまま淡々と喋る。しかしそれと裏腹にしっとりと濡れて水滴が流れ落ちるその躯は湯を浴びて肌はうっすらと熱を帯びて朱に染まり、雄弁にその男の妖艶さを語っていた。
「どうした?」
…
しかしなにより俺の思考を奪っていたのは裸体に広がる無数の紅く小さな花。
どこかで神経が痺れるような感覚に襲われる。
「…」