「…前も」
「え?…はい。」
態勢を換え、彼に背中を預け、シャワーが前にあたるように向きを変える。
片手を上げ、彼の首に回し、もう一方を壁につける。織部は俺を支えていた右手を脇から回して持ち直す。
シャワーを浴びながら俺は、何故か静かに俺の言うとおりに付き添っている彼に不思議な安らぎを感じていた。
そして背中を摩っていたように彼の掌が優しく腹から胸部を触った時…
「ぁ…んっ」
「!」
不意に漏れた俺の声。
ピクンッと織部の手が震える。
「…っ、すみません!」怯えるように手を離す、しかし
「いいよ」
「え?」
「…もっと、」
離れかけた彼の腕を掴み再度自分の肌に掌を合わす。
熱くなった彼の体温が心地よい。
(俺は…、一体彼に何を期待してるんだろう…?)
後ろにいる彼の表情はよくわからなかった。でも耳からうなじにかかる熱い息から彼が、織部が興奮しているのは明らかで…
「ッ…柚木さんっ、俺…!」
そのまま強く抱きしめられる。
熱く柔らかな彼の唇が首筋にあたり、濡れた舌とで愛撫される。そして瞬間、キツく吸われたかと思うと同時に肌の感触を確かめるように動いていた胸元の手が、硬く突き出して来ていた俺の乳頭を摘んだ