「不相応な物に手を出すと、また後で後悔する事になるぞ。」
「…」
何処でせっかちな蝉が鳴いている。
頭の奥の一点が氷の様に冷たかった。
「…、さて」
短い溜息をついた後、
「俺はもう行くがお前はもう少し休んでから帰れ。鍵は…必要ないな。ったくどうすんだよコレ、」
何故か鍵が壊れたドアの前で愚痴を言っている。
「…優しいんですね」
「愛してるからな」
お前の体を、と悪戯っぽく付け加えていうとそのまま橋田はスタスタと出ていってしまった。
……